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画像: 「3Dの顔」が容疑者特定 防犯カメラ画像の鑑定に威力

「3Dの顔」が容疑者特定 防犯カメラ画像の鑑定に威力

2009年05月07日

防犯カメラの不鮮明な画像の鑑定に、専用装置で撮影した3D顔画像を使うケースが増えているという。防犯カメラの人権上の問題を指摘刷る声も強いが、警察は画像の活用をさらに進めていく考えだ。
2009年04月20日 10時56分 更新
photo 防犯ビデオに写った犯人役の顔(左)に、三次元撮影装置で撮影した容疑者の顔を重ね(中)、比較した画像(右)(クリックで拡大)

 千葉県柏市の郊外にある警察庁科学警察研究所の1室。全身がすっぽり収まる立方体の装置の中で行われた撮影は、わずか0.5秒で終わった。40秒後には接続されたコンピューターのモニターに、顔面の立体的な像が浮かび上がる。

 「左右2方向から放つ光で顔表面の各地点間の距離を測る。いわば三角測量の原理です」(宮坂祥夫生物第二研究室長)

 出来上がった画像を、防犯カメラが撮影した二次元の映像に角度や縮尺を変えながらモニター上で重ね合わせる。目、鼻、口の位置や輪郭がぴたりと一致-。同一人物! 画像鑑定により“容疑者”が特定された瞬間だ。

 コンビニ店頭や現金自動預払機(ATM)周辺にとどまらず、街頭にも設置が広がる防犯カメラ。事件発生のたびに公開された映像がテレビに流れるが、捜査で浮かんだ容疑者との同一性を証明するには鑑定が必須だ。

 三次元の撮影装置を科警研が最初に導入したのは2000年。以後、北海道、宮城、愛知、大阪、広島、福岡の道府県警本部に1台ずつが配備され、鑑定件数は昨年までに290件に上った。

裁判員制度へ「分かりやすく」有効

 2007年6月。中部地方のスーパーで幼い子供が男に連れ出され、いたずらされる事件が発生した。女の子を連れ出す男の姿を店内の防犯カメラがとらえ、鑑定した結果、容疑者の三次元画像と一致。犯行を裏付ける証拠の1つとなった。

 「子供の被害者は証言が得にくく、鑑定が役立った」と警察庁の田辺泰弘犯罪鑑識官。5月には分かりやすい立証が求められる裁判員制度が始まるが「目で見て確認できる画像鑑定は、裁判員にも受け入れやすいのではないか」と期待する。

 防犯カメラの映像は真正面の映像はまれで、サングラスやマスクで隠され不鮮明なものも。「自分じゃない」と否定する容疑者もいる上、増え続けるカメラに人権上の問題を指摘する声も強い。

 それでもある警察庁幹部は「欠かせないツールだ。プライバシーへの配慮を徹底したい」。事件現場から写真や動画を送信したり、暴力行為など人の不規則な動きを自動感知するカメラを導入するなど、画像の活用をさらに進めることを検討していると明かした。

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